飲食店の広告が効く店とムダな店の差を現場プロが徹底実務解説ガイド

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広告費は払っているのに、席は埋まらない。グルメサイトもSNSもチラシも試したのに、「どれが効いているのか」も分からない。この状態で「飲食店 広告」を続けること自体が、静かに利益を削る固定費になっています。

多くの飲食店は、媒体選びから考え始めます。ホットペッパーか食べログか、Instagram広告かポスティングか。しかし現場で数字を追っていると、広告がうまくいかない店の原因は、媒体ではなく「店側の設計」にあります。来店経路を記録していない、オペの受け皿を作らずにバズらせる、粗利を見ないまま「売上の何%」だけで広告費を決める。失敗パターンは、驚くほど似通っています。

一方で、派手なことはしていないのに、静かに売上を伸ばしている店も存在します。特徴は、広告をギャンブルではなく「テストと検証の繰り返し」として扱っていることです。オンラインとオフラインの役割分担を決め、半径1kmの戦い方を組み立て、1ヶ月単位の小さなテストで「残す施策」と「やめる施策」を切り分けています。

このガイドは、「飲食店 広告の種類カタログ」ではありません。
扱うのは、次のような現場ロジックです。

  • SNSでバズった結果、オペが崩れて評価が急落した店が、どこにブレーキを掛け直したのか
  • 検索やグルメサイト、SNS、看板、ポスティングを、どう組み合わせると半径1kmで効き始めるのか
  • グルメサイト依存から一気に抜けて売上を落とした店が、どんな移行ステップを踏み直したのか
  • レジ横のチェックシートとPOSのメモ欄だけで、媒体ごとの「続ける/縮小/撤退」を判断できるようになった手順
  • 原価率や客単価の違いを踏まえて、広告費の上限と1ヶ月テスト予算をどこまで許容できるか
  • 集客が成功してもオペを壊さないための、店内設計チェックポイント

この記事を読み進めれば、「なんとなく続けている広告」を1ヶ月で棚卸しし、次の30日で「1本だけテスト広告」を走らせ、半年後には広告をコントロール可能な投資に変える道筋が具体的に見えます。今までと同じ感覚で広告を打ち続けるか、手元に残る現金を最大化するために設計から組み直すか。その分かれ目が、この先の数分です。

下の一覧を眺めて、今の自店に刺さるパートから読み進めてください。

セクション 読者が手にする具体的な武器(実利) 解決される本質的な課題
前半(広告が効かない理由〜オンライン/オフライン設計〜棚卸し〜来店経路の記録) 媒体以前に見直すべき店側の条件整理方法、半径1kmの広告設計、やめてよい広告と残す広告の判別軸、来店経路を数値で掴む簡易仕組み 「何をどれだけ続けるべきか分からない」「広告の効果が見えない」状態から抜け出せない問題
後半(広告費のリアル計算〜オペを壊さない設計〜7日/30日/半年の行動レシピ) 自店の粗利と単価に合った広告予算の決め方、集客とオペのバランス調整法、明日から7日・30日・半年で何をするかが決まる行動計画 「広告を増やすと現場が壊れる」「いつまで経っても場当たり的な集客から抜け出せない」状況の根本的な解消
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  1. 「飲食店×広告」がうまくいかない本当の理由は、媒体選びではない
    1. 想像以上に多い「広告にお金はかけているのに、手応えゼロ」の店
    2. 広告が効かない店に共通する、3つの“見落としポイント”
    3. 「媒体比較の前に、店側の条件整理を終わらせる」発想
  2. バズっても潰れる店、静かに伸びる店。現場で起きた“逆転ストーリー”
    1. SNSでバズ→週末満席→クレームだらけ…評価急落を招いた一手
    2. プロ現場が実際にやる“ブレーキの踏み方”
    3. 静かに伸びる店は、なぜ“地味な施策”を積み上げているのか
  3. オンラインとオフライン、「半径1kmの戦い方」を間違えないために
    1. 検索・グルメサイト・SNSが得意なこと/苦手なこと
    2. 看板・ポスティング・近隣チラシが“古く見えて”実は効いている理由
    3. 「オンライン7:オフライン3」が正解とは限らない
  4. グルメサイト・SNS・チラシ…やめていい施策/残すべき施策の見分け方
    1. 「なんとなく続けている」広告を1ヶ月で棚卸しするチェックリスト
    2. 「一気に切る」と危険なグルメサイト依存からの抜け出し方
    3. チラシやポスティングを「一度で判断してはいけない」理由
  5. 来店経路を「なんとなく聞いている店」と「1ヶ月記録した店」の差
    1. レジ横チェックシートだけで見え方が激変した、よくあるパターン
    2. POSのタグ・メモ欄を“1週間だけ本気で使う”と何が起きるか
    3. 媒体ごとに「続ける/縮小/撤退」を判断するシンプルな物差し
  6. 「広告費は売上の5〜10%」は半分だけ正しい。飲食店のリアル計算式
    1. 原価率30%と50%の店で、同じ5%投下は意味が違う
    2. 単価2,000円のカフェと5,000円の居酒屋、同じ広告設計は危険
    3. 「1ヶ月だけのテスト予算」をどこまで許容できるか
  7. 広告でオペを壊さないための“店内設計”チェックリスト
    1. 集客に成功した瞬間にボトルネックになるのはどこか
    2. プロ現場がやっている「受け皿づくり」の優先順位
    3. クチコミが資産になる店/広告を打つほど炎上リスクが高まる店
  8. 「明日から何を変えるか」が決まる、行動レシピ
    1. まず最初の7日間でやること:現状把握ミニプロジェクト
    2. 次の30日でやること:1本だけテスト広告を走らせる
    3. 半年後に目指す姿:広告を“ギャンブル”から“投資”に変える
  9. 執筆者紹介

「飲食店×広告」がうまくいかない本当の理由は、媒体選びではない

「インスタもグルメサイトもチラシもやってるのに、店はラクにならない」
現場でよく聞くこの嘆きの原因は、媒体が悪いよりも「店側の設計がスカスカ」なことが多いです。
広告は車のアクセル。エンジン(利益構造)とハンドル(客層・時間帯設計)が曲がっているまま踏み込めば、どの媒体を選んでも壁に突っ込みます。

想像以上に多い「広告にお金はかけているのに、手応えゼロ」の店

ヒアリングを続けていると、年商3000万〜1億クラスでも、次の状態にハマっている店が目立ちます。

  • グルメサイトに毎月5万〜10万、なんとなく継続

  • インスタ更新「ほぼ毎日」だが、予約導線がプロフィールに無い

  • チラシ2万部でクーポン回収10件前後、原因分析ゼロ

共通するのは、「いくら払って、何件来たのか」「その客はいくら落としていったのか」を数字で見ていないこと。
体感だけで判断している限り、「まあ効いてる気がする広告」に財布を吸われ続けます。

広告が効かない店に共通する、3つの“見落としポイント”

現場で潰れかけた店を見ていると、失敗パターンはだいたい3つに整理できます。

  1. 客席設計と広告のズレ
    例:平日ランチガラ空きなのに、夜メインのグルメサイトに全振り。

  2. 粗利を見ずに「売上%」で広告費を決めている
    原価50%の店と30%の店が、同じ「売上の5%」をかけたら、手残りの圧迫度はまるで違います。

  3. 来店経路を「なんとなく」しか把握していない
    口頭で聞いて終わり。記録がないので、媒体ごとの採算が一生見えない。

下の表を一度、自店に当てはめてみてください。

項目 今やっていること 数字で把握できているか
平日昼の席稼働 例:30席中8席 売上・客数を週単位で見ているか
主力広告1 例:グルメサイト有料 予約件数と客単価が出せるか
主力広告2 例:インスタ プロフィール経由の予約数が分かるか
店前〜半径1km施策 例:看板/チラシ 来店者の「きっかけ」を線で記録しているか

1つでも「ほぼ勘」が混じっていれば、そこが広告が抜けている穴です。

「媒体比較の前に、店側の条件整理を終わらせる」発想

本気で広告を効かせたいなら、媒体比較は最後で構いません。
先にやるべきは、次の3つの条件整理です。

  • いつ・どの時間帯の席を埋めたいのか(曜日と時間帯を具体的に)

  • 1人あたりいくらまで広告にかけていいのか(粗利ベースでの上限)

  • その客に、何回来てほしいのか(リピート前提か、一発勝負か)

この3つが決まると、「誰に・どの距離で・どんな導線で」届けるかが見えてくるので、媒体選びは一気にラクになります。
媒体カタログを眺める前に、自店の条件表を1枚作る。ここからが、広告をギャンブルから投資に変える第一歩です。

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バズっても潰れる店、静かに伸びる店。現場で起きた“逆転ストーリー”

SNSでバズ→週末満席→クレームだらけ…評価急落を招いた一手

「Instagramで急に拡散して、週末が全部埋まりました。でもその翌週から予約がガクッと減って、Googleマップの口コミも★2台が続きました。」

現場で何度も聞くパターンだ。
原因は広告そのものより「受け皿の設計ミス」にある。

よくある流れはこうだ。

  • SNS広告や投稿がバズり、新規顧客が一気に来店

  • キッチンとホールのオペが追いつかず、料理も提供も遅延

  • 席を詰め込みすぎて、常連の居心地が悪化

  • 口コミで「遅い」「雑」「写真と違う」と書かれ、MEOの評価が急落

広告の効果は出ているのに、「体験の質」が支えきれず、ブランドを削ってしまう。
この状態でさらに広告費を上乗せしても、クレームを増やすだけになる。

プロ現場が実際にやる“ブレーキの踏み方”

広告でアクセルを踏む前に、プロは必ずブレーキの位置を決めておく。現場レベルでは、次の3点を数字で決めている店ほど事故が少ない。

項目 バズって崩壊する店 静かに伸ばす店
1日の最大予約数 その日次第で増やす 席数の7〜8割で上限設定
提供時間の基準 感覚で対応 「ピークでも◯分以内」を決めて計測
広告配信の調整 反応が良いほど増やす 口コミ評価と提供時間を見ながら増減

特に効果が大きいのは、「まずは1週間だけ予約数を制限してテストする」ことだ。
来店数、客単価、提供時間、口コミを1週間分だけメモし、次のどちらかを判断する。

  • 余力があるなら、広告配信エリアや予算をじわっと増やす

  • 余力がないなら、メニュー数を絞るか、回転率を上げる動線を優先して整える

広告運用というより、「店内オペレーションのチューニング」として考える方が失敗が減る。

静かに伸びる店は、なぜ“地味な施策”を積み上げているのか

派手なキャンペーンを打たず、広告費も多くないのに、毎年じわじわ売上を伸ばしている飲食店には共通点がある。やっていることは驚くほど地味だ。

  • 来店ごとに「何で知ったか」を5択で聞き、レジ横シートに正の字で記録

  • 看板の位置と内容を、雨の日と晴れの日で撮影し、通行人の反応を比較

  • クーポンは「新規獲得」と「リピーター向け」で分けて、回収枚数を別管理

これを1ヶ月だけでも続けると、「広告の効き方」が数字で見えてくる。
例えば、想定よりポスティングからの来店が多い店は、オンライン広告を少し削ってでもエリアを変えて再テストする価値がある。逆に、SNSからの予約が多い店は、メニュー写真とプロフィール導線の改善に集中した方が費用対効果は上がる。

静かに伸びる店ほど、「広告の即効性」よりも「測定の習慣化」を優先している。
広告は一発逆転の花火ではなく、粗利という“店の財布”を太らせるための投資。
その感覚を持っているかどうかが、バズって消える店と、地味に生き残る店の分かれ目になっている。

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オンラインとオフライン、「半径1kmの戦い方」を間違えないために

「ネットで話題なのに、徒歩5分圏はガラガラ」
現場で一番もったいないのが、この状態です。飲食店の広告は全国区より半径1kmの“取りこぼしゼロ”が勝負どころになります。

検索・グルメサイト・SNSが得意なこと/苦手なこと

オンライン広告は「探している人」に刺さる反面、「近くにいる人」を取りこぼしがちです。役割を整理すると、こうなります。

媒体 得意な役割 苦手な場面 向いている店舗
Google検索・MEO 「駅名+業態」で検索するユーザーの獲得 常連化、リピーターづくり ビジネス街・観光地
グルメサイト掲載 比較検討、メニュー情報の一覧表示 利用が少ない地域、手数料負担 予約メインの居酒屋
SNS(Instagram・Twitter) 写真・動画で魅力を拡散、ファン化 来店までの導線が弱いと売上に直結しにくい 見た目が強いカフェ・バル

オンラインの最大のメリットは、検索結果や公式アカウントから「店の世界観と基本情報」を一気に伝えられることです。ただし、広告費や運用時間をかけても、
「今、駅前を歩いている人」には直接届きません。

看板・ポスティング・近隣チラシが“古く見えて”実は効いている理由

住宅街やローカルエリアの相談で、数字を追っていくと看板とポスティングが売上に一番効いていたケースがいまだに多くあります。

  • 看板

    • 駅から店までの導線上で「ここに飲食店がある」と毎日アピールできる
    • 夜は照明だけで“無料広告”として機能する
  • ポスティング・新聞折込・DM

    • 半径1kmの既存顧客とその家族に直接情報を届けられる
    • チラシ+クーポンで「初回来店」と「再来店」の両方を狙える

オンライン広告は興味関心の高いユーザーを捕まえるのが得意ですが、
オフライン広告は「そもそも店の存在を知らない近所の人」に気付いてもらうのが得意です。

SNSのフォロワーが2,000人いても、その多くが県外なら、
駅前のA看板1枚のほうが来店効果は高い、ということも珍しくありません。

「オンライン7:オフライン3」が正解とは限らない

「広告費はオンライン7、オフライン3くらいで」と語られることが多いものの、
現場で数字を見ていると、この比率がハマる店は一部だけです。

商圏・客層 オンライン:オフラインの目安 ポイント
オフィス街・ランチ特化 5:5 看板+MEO+クチコミが最重要
住宅街・家族利用中心 3:7 ポスティング・チラシ・紹介施策を厚めに
観光地・話題性重視 7:3 SNS・Webサイト・口コミサイトを強化

同じ「飲食店」でも、

  • 客単価

  • 来店頻度

  • 商圏の広さ

で適切な媒体配分はガラリと変わります。

まずは1ヶ月だけ、

  • オンライン:検索・グルメサイト・SNSからの来店

  • オフライン:看板・チラシ・紹介からの来店

をレジ横チェックシートで記録してみてください。
机上の「7:3」より、自店データから出した比率のほうが、はるかに強い武器になります。

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グルメサイト・SNS・チラシ…やめていい施策/残すべき施策の見分け方

「毎月それなりの広告費は払っているのに、どれが効いていて、どれがムダなのかサッパリ分からない」
多くの飲食店オーナーがここで詰まります。媒体の好き嫌いではなく、1ヶ月で“お金を残す施策”と“財布を削る施策”を仕分ける視点を入れましょう。

広告を棚卸しする時に見るべきなのは、「アクセス数」ではなく来店・売上・リピートです。グルメサイトもSNSもチラシも、共通の物差しで評価できれば、残すべき施策は自然と浮き上がります。

「なんとなく続けている」広告を1ヶ月で棚卸しするチェックリスト

まずは今走っている広告を一度“丸裸”にします。1ヶ月だけ、次の3点だけは必ず数字を取ってください。

  1. 媒体ごとの費用(出稿・掲載・ポスティング印刷など)
  2. その広告を見て来店した人数(レジ横チェックシートや口頭ヒアリングで十分)
  3. 来店した人の平均客単価と、クーポン利用の有無

シンプルな整理表にすると判断が一気に楽になります。

媒体別棚卸しシート(例)

媒体名 1ヶ月の費用 来店数 1人あたり客単価 売上合計 1来店あたり広告費
グルメサイトA 40,000円 25人 4,000円 100,000円 1,600円
Instagram投稿 0円 10人 3,500円 35,000円 0円
ポスティング 30,000円 20人 2,500円 50,000円 1,500円

ここで見るポイントは、「かけた広告費に対して、粗利ベースでプラスかどうか」です。
原価率50%なら、客単価4,000円のうち、店に残るのは2,000円が目安。そこから人件費や家賃も出すことを考えると、1来店あたり広告費は“客単価の20〜25%以内”に収まっているかが一つのラインになります。

このラインを大きく超えている媒体は「なんとなく続けている危険ゾーン」です。

「一気に切る」と危険なグルメサイト依存からの抜け出し方

グルメサイトは、飲食店にとって“酸素ボンベ”のような存在になりがちです。高いと分かっていても、いきなり外すと息苦しくなる。だからこそ、やめる時は一気にではなく“段階的に”が鉄則です。

現場でよく取られる安全なステップは、次の3段階です。

  1. まずは上の棚卸しシートで、「グルメサイト経由の売上構成比」を把握する
    例:全体売上のうち、グルメサイト経由が30%を占めているなら、一気にゼロは危険ゾーン

  2. 3〜6ヶ月の“移行期間”を決める
    この期間にやることは
    ・Googleマップ(MEO)の情報・写真・メニューを最新化
    ・InstagramやLINE公式アカウントから、自店予約導線へ誘導
    ・口コミ依頼の声かけをスタッフ全員で徹底
    「グルメサイトの代わりに“探してもらえる導線”を増やす」イメージです。

  3. グルメサイトのプランを段階的にダウンさせる
    いきなり掲載終了ではなく、
    ・最上位プラン→中位プラン
    ・中位プラン→無料掲載
    と1ランクずつ下げ、売上の落ち方と他媒体の伸びを比較します。

この時期に意識したいのは、「予約数」だけでなく「粗利」です。
安いクーポンで埋まる席を減らし、「単価は少し高いが納得して来てくれる顧客」を自店のSNSやGoogleから拾っていくことで、広告費を抑えながら手残りを増やせます。

チラシやポスティングを「一度で判断してはいけない」理由

チラシやポスティングは、1回だけ出して「反応が少なかったから二度とやらない」と封印されがちな施策です。ところが、エリアマーケティングのデータを見ると、単発より「同じエリアに3回打ち」が効くパターンが目立ちます。

理由はシンプルで、近隣住民の頭の中に店の情報が「記憶→興味→行動」と浸透するには時間がかかるからです。

1回目:
「こんな店あるんだ」レベルの認知

2回目:
「駅から近いし、今度行ってみてもいいかも」の興味

3回目:
「今日は外食しようか。あのクーポンの店にしてみようか」の来店

この流れを作るには、次の2点を必ず押さえます。

  1. 同じエリア・同じターゲットに、内容を少し変えながら最低3回は配布する
  2. 毎回、「このチラシを持参で○○」など、来店経路が分かる仕掛けを入れる

ポスティングは「古い手法」に見えがちですが、駅徒歩圏・住宅街立地では、SNSよりも来店に直結しやすいケースも多くあります。
重要なのは、「1回で白黒つけない」「効果測定できる工夫を入れてから判断する」ことです。

グルメサイト・SNS・チラシそれぞれを、感覚ではなく1ヶ月の数字と3〜6ヶ月の移行設計で仕分ければ、広告はギャンブルではなく“投資”に変わります。

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来店経路を「なんとなく聞いている店」と「1ヶ月記録した店」の差

「どこで店を知りました?」を“雑談”で終わらせるか、“武器”に変えるか。ここで、同じ広告費でも売上が倍違う世界になる。

レジ横チェックシートだけで見え方が激変した、よくあるパターン

多くの飲食店は、来店経路を口頭で聞くだけで終わっている。
1ヶ月だけ、レジ横にA4紙1枚のチェックシートを置いてみると景色が変わる。

チェックシートの例:

  • 検索(Google/マップ)

  • グルメサイト(ホットペッパー等)

  • SNS(Instagram・X)

  • チラシ/ポスティング

  • 看板/通りがかり

  • 知人の紹介

会計のたびに、該当項目に1本線を入れるだけ。
30席クラスの居酒屋でも、1ヶ月続けると次のような「勘違い」が炙り出されやすい。

項目 オーナーの感覚 1ヶ月記録した実数の傾向
グルメサイト 集客の7〜8割を担っている気がする 実際は2〜3割程度
SNS 手応えがない 若年層の新規に偏って効いている
看板・通りがかり ほぼゼロだと思っている 近隣の新規来店で意外と多い
紹介 なんとなく多い 常連の再来店・団体利用の起点になっている

「グルメサイトに毎月○万円払っているのに、紹介と看板で同じくらい来ている」と分かると、広告の“主役と脇役”の入れ替えが現実的に検討できる。

POSのタグ・メモ欄を“1週間だけ本気で使う”と何が起きるか

POSレジを導入している店舗なら、タグ・メモ欄を使わない手はない。
1ヶ月はきつくても、まず1週間だけ全員で本気運用してみる。

やることはシンプル。

  • 媒体ごとにコードを決める

    • GP:Googleマップ/検索
    • GS:グルメサイト
    • IN:Instagram
    • CH:チラシ・ポスティング
    • RE:紹介
  • 会計時に、来店経路を聞いてPOSのメモ欄に2〜3文字入力

これを1週間徹底すると、「誰が、どの広告で、いくら使っているか」が粗くても見える。
とくに見落とされがちなのは次のポイント。

  • 低客単価のSNS新規が多く見える

  • グルメサイト新規は単価は高いがリピート率が低い

  • 紹介経由は単価・再来店ともに高め

「来店数」だけでなく「客単価」「リピート」をセットで見ることで、SNS・MEO・ポスティングなど媒体ごとの本当の“財布への貢献度”が判断しやすくなる。

媒体ごとに「続ける/縮小/撤退」を判断するシンプルな物差し

広告の成否は、本当は難しい指標を使わなくても判断できる。
1ヶ月記録したデータから、最低限次の3指標を出せば十分だ。

指標 計算のイメージ 判断の目安
来店単価(CPA) 広告費÷広告経由の来店数 粗利を超えていないか
平均客単価 媒体別売上÷来店数 他の媒体より明らかに低くないか
再来店の有無 1〜2ヶ月以内に再来店した人数 新規だけで終わっていないか

この3つから、媒体別に次のように仕分けできる。

  • 続ける媒体

    粗利の範囲内でCPAが収まり、客単価か再来店率のどちらかが高いもの

  • 縮小する媒体

    CPAは許容範囲だが、他媒体より単価・再来店が明らかに弱いもの

  • 撤退候補

    粗利を超えるCPAかつ、単価もリピートも低いもの

「なんとなく不安だから続ける」「高い気がするから全部やめる」という感覚判断をやめ、1ヶ月の来店記録を物差しに変える
この一手で、「飲食店 広告」はギャンブルから、コントロール可能な投資に近づいていく。

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「広告費は売上の5〜10%」は半分だけ正しい。飲食店のリアル計算式

「売上の5〜10%を広告費に」が有名な目安だが、現場で見るとこの指標だけで判断して潰れかけている店が山ほどある。鍵になるのは「売上」ではなく「粗利」と「客単価」と「LTV(そのお客さんが生涯で落とす金額)」だ。

原価率30%と50%の店で、同じ5%投下は意味が違う

同じ売上100万円でも、原価率で「財布の厚み」はまるで変わる。

指標 A店:原価率30% B店:原価率50%
月商 100万円 100万円
原価 30万円 50万円
粗利 70万円 50万円
広告費5% 5万円 5万円
広告費/粗利 約7% 10%

広告の安全ラインを見るなら「売上の%」ではなく「粗利の何%か」で見るべきだ。
人件費や家賃が重い店、原価が高い肉・海鮮系の店は、同じ5%を投下しても「手残り」が一気に削られる。
目安として、個人店なら広告費=粗利の5〜8%以内を超え始めたら要警戒ゾーンと見てほしい。

単価2,000円のカフェと5,000円の居酒屋、同じ広告設計は危険

客単価が違うと、「1人集客あたりにかけてよい費用(CPA)」も変わる。

店舗タイプ 客単価 目標リピート 生涯売上イメージ 1人あたり許容CPAの感覚
カフェ 2,000円 月1回×6ヶ月 約1万2,000円 300〜600円
居酒屋 5,000円 季節ごとに年3回 約1万5,000円 500〜1,000円

たとえばInstagram広告で1予約あたり800円かかるとする。
カフェなら「ちょっと高い、テスト止まり」の水準でも、客単価5,000円の居酒屋なら「十分アリ」になる。
にもかかわらず、

  • 単価2,000円の店がGoogle広告を広く配信してCPA1,000円を量産

  • 単価5,000円の店がポスティングをケチって反応が出る前に撤退

といった“逆転”が起きている。客単価×リピート回数をまず電卓で叩くことが、媒体選びより先の仕事だ。

「1ヶ月だけのテスト予算」をどこまで許容できるか

本気で広告の効果を測りたいなら、「1ヶ月のテスト枠」をあらかじめ財布の中で確保しておく方が安全だ。目安は次の通り。

  • 粗利70万円クラスの店(原価率30%・月商100万前後)

    →テスト広告枠 2〜5万円

  • 粗利50万円クラスの店(原価率50%・月商100万前後)

    →テスト広告枠 1.5〜3万円

このテスト枠で、例えば

  • Googleマップ対策+MEOとセットでSNS広告を少額配信

  • グルメサイトの有料プランを最低プランで3ヶ月だけ試す

  • 半径1kmにポスティングを5,000部配布し、クーポン回収と来店数を記録

など、「1本ずつ」「期間を区切って」検証する。
ここで重要なのは、テスト結果を“感覚”ではなく来店数・客単価・クーポン回収率でメモすること。
数字が残っていれば、「続ける広告」と「やめていい広告」の線引きが、自信を持ってできるようになる。

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広告でオペを壊さないための“店内設計”チェックリスト

「SNSがバズった瞬間から、地獄の忙しさが始まった」
現場で聞くこのセリフは、広告の失敗ではなく店内設計の失敗です。集客のスイッチを押す前に、まずここを整えます。

集客に成功した瞬間にボトルネックになるのはどこか

広告で来店が増えると、最初に詰まるのは感覚ではなく工程です。プロは「一番先に渋滞する場所」を必ず特定します。

主なボトルネック候補は次の4つです。

  • 予約受付(電話・Instagram・LINE・グルメサイトのバラバラ受付)

  • 入店〜着席(案内導線、席の組み換え)

  • 注文〜提供(メニュー構成、キッチンのキャパ、ドリンク提供速度)

  • 会計〜退店(レジ台数、支払い方法、レジ締めオペ)

この4つを、広告前に「通常日」と「繁忙想定日」で想像しながらチェックします。

チェック項目 普段は問題なし 広告で来店増えたら危険度
予約経路が3つ以上ある ダブルブッキングリスク大
看板〜入口まで分かりづらい 新規顧客が迷子になり離脱
注文が単品バラバラ キッチンが即パンク
レジが1台・現金中心 会計渋滞→口コミ低下

プロ現場がやっている「受け皿づくり」の優先順位

広告の前に、プロは「受け皿オペ」の順番を決めてから手を打ちます。優先順位はシンプルです。

  1. 予約と席のコントロール

    • グルメサイト・Googleマップ・電話・SNSの予約を「1本の台帳」に集約
    • 忙しい時間帯はコースメニュー中心にして、調理を標準化
  2. メニューの“回転率”設計

    • 即効で出せる看板メニューを3品決め、チラシや投稿でそこに誘導
    • 原価率の高い料理を「写真映え用」、利益の出る料理を「主力」に分けて表示
  3. スタッフ配置と役割の固定

    • 初めての広告出稿日は「慣れているスタッフを多め」に入れる
    • 注文係と配膳係を分け、店主は極力レジとクレーム対応に専念

この3つだけでも、同じ広告費で体感の満足度と口コミスコアが別物になります。

クチコミが資産になる店/広告を打つほど炎上リスクが高まる店

同じ施策でも、「クチコミが資産になる店」と「炎上する店」の差は、広告ではなく店内の“クセ”にあります。

クチコミが資産になる店の共通点は、次の通りです。

  • 忙しい時間帯ほどメニューを絞り、待ち時間を短くしている

  • 席時間やラストオーダーを入口とメニューに明記している

  • 会計時に「混雑でお待たせしたお詫び」を一言そえている

  • GoogleマップやInstagramの口コミに、24時間以内に返信している

逆に、広告を打つほど炎上リスクが上がる店は、

  • 人手不足なのに「クーポンで大幅値引き」をして客数だけ増やす

  • ポスティングやチラシで激安メニューを推し、常連席まで奪ってしまう

  • 口コミの返信を一切せず、低評価が積み上がるのを放置する

結果として「安いけど遅い」「感じが悪い」という口コミが拡散し、広告費をかけるほどマイナス情報が加速します。

広告の設計と同じくらい、オペとクチコミの設計をやっておくと、「一度来た新規」がリピーターになり、広告費の目安である売上5〜10%を無理なく回収できる構造に近づいていきます。

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「明日から何を変えるか」が決まる、行動レシピ

まず最初の7日間でやること:現状把握ミニプロジェクト

最初の7日間は「一切お金をかけず、情報だけを集める週」に切り替える。

1日1テーマで、メモ帳かノートに数字を書き出していく。

  • 1日目:先月の売上・客数・客単価を書き出す

  • 2日目:曜日別・時間帯別の客数をざっくり整理

  • 3日目:使っている広告(グルメサイト、SNS、チラシ、ポスティング、看板など)と月額費用を一覧化

  • 4日目:Googleマップの口コミ件数と評価、直近10件の内容をチェック

  • 5日目:スタッフと「お客さん、店をどうやって知ったって言ってた?」を振り返る

  • 6日目:メニューの中で一番出ている商品と利益の薄い商品を洗い出す

  • 7日目:やめてもよさそうな広告、逆に伸ばしたい広告を仮で丸印・バツ印してみる

ここで使うのが「レジ横チェックシート」。A4紙に、来店のきっかけを5択で印刷しておく。

  • 検索(Google、Yahoo)

  • グルメサイト

  • SNS(Instagram、Twitter)

  • チラシ・看板・ポスティング

  • 紹介・口コミ

1週間だけ、会計時に「どこで知っていただきました?」と聞いて、該当箇所に1本線を入れる。これだけで、広告の“体感”と“事実”のズレが見え始める。

次の30日でやること:1本だけテスト広告を走らせる

現状がざっくり見えたら、「1本だけ」テスト広告を走らせる。複数同時にやると、何が効いたか分からなくなる。

まずはテスト候補を決める。

  • 半径1km圏でランチを増やしたい → ポスティングか近隣チラシ

  • 夜の予約を増やしたい → グルメサイトのプラン見直し or SNS広告

  • 新メニューやコースを打ち出したい → Instagram広告+Googleマップの写真更新

30日間のテストは、「予算」と「物差し」を先に決めるのが鉄則。

テスト設計の例

項目 内容
期間 30日間限定
媒体 例:Instagram広告
予算 1日1000円 × 30日=3万円
目標 広告経由の来店20組、売上8万円
測定方法 広告専用クーポン or 合言葉を提示した組数をカウント

「広告費3万円で売上8万円」を狙うなら、原価率や人件費を差し引いた“手元の残り”も必ず見る。売上8万円の粗利が4万円なら、広告費3万円は攻めすぎになるケースもある。

30日が終わったら、次の3点だけを冷静に振り返る。

  • いくら使ったか(広告費)

  • 何組来たか(来店数)

  • いくら売れたか(売上・粗利)

ここまでやれば、「続ける」「縮小する」「やめる」の判断が、勘ではなく数字で決められる。

半年後に目指す姿:広告を“ギャンブル”から“投資”に変える

半年後に狙うのは、「広告を打つたびに不安になる店」から「広告費を増やすタイミングを自分で決められる店」へのシフトだ。

目安として、次の状態をゴールに置く。

  • 来店経路のざっくり割合が分かる

    (検索・グルメサイト・SNS・チラシ・紹介の比率が数字で出せる)

  • 媒体ごとに、「1組連れてくるのにいくらかかったか」が把握できている

  • 広告費の上限を、“売上”ではなく“粗利”から逆算できている

  • 広告を増やす前に、席数・提供スピード・スタッフ体制をチェックする癖がついている

半年かけて積み上げたいのは、キラキラした必殺技ではなく、「測定→調整→再テスト」の地味なループだ。派手なバズより、静かに効き続ける口コミとリピーターを増やすほうが、結果として広告費を抑えながら売上を安定させやすい。

明日から7日間の現状把握、次の30日のテスト広告、その先の半年の積み上げ。この3ステップを走らせた店から、「広告の怖さ」より「広告でお客さんを選べる感覚」が手に入っていく。

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